事業承継税制とは、後継者が非上場会社の株式等を先代経営者等から贈与・相続により
取得した際、経営承継円滑化法による都道府県知事の認定を受けると、贈与税・相続税の
納税が猶予される制度です。 つまり一時的には相続税の大幅な節税につながり、会社経営を一定の条件を満たしながら 続けていくことで半永久的に猶予してもらうことが可能であり、状況次第では実質的には 免除されることとなります。 |
事業承継税制とは、前述のとおり株式の承継に伴う納税猶予・免除制度であり、相続税に関するものと 贈与税に関するものに分けられます。 |
中小企業の経営者が保有する非上場株式を後継者が相続により取得し、その会社を経営していく場合には、 その後継者が納付すべき相続税の納税が猶予されます。その後、一定要件を満たしつつ後継者が死亡した 場合には、納税が猶予されていた相続税が免除されるという制度です。 |
中小企業の経営者が保有する非上場株式を後継者が贈与により取得し、その会社を経営していく場合には、 その後継者が納付すべき贈与税の納税が猶予されます。その後、一定要件を満たしつつ、先代経営者または 後継者が死亡した場合には、納税が猶予されていた贈与税が免除されるという制度です。 |
平成30年度の税制改正においては、事業承継税制が抜本的に拡充されたほか、新規設備投資の固定資産税が 3年間最大ゼロとなる特例が創設されるなど、中小企業の企業活動を幅広く支援する税制が措置されています。 |
適用イメージ例 (基本的には贈与税:猶予→贈与税:免除&相続税:猶予→相続税:免除&贈与税:猶予・・・の繰返し) |
事業承継税制のメリットは、後継者が非上場株式を継承することによる多額な相続税や贈与税が猶予され、 免除される可能性もあることです。ただし、この制度を利用するためには、いくつかの適用要件があり、 猶予期間中にも一定の要件を満たされなくなった場合には、猶予されていた税額とともに利子税の支払いを 求められることもあります。 |
後継者が先代経営者から贈与により取得した議決権株式にかかる贈与税の全額の納税が猶予されます。 |
先代経営者または後継者が死亡すると、猶予されていた贈与税は免除されます。ただし、相続税の 納税猶予制度と同様ですが、猶予期間中に、一定の要件を満たさなくなると、その時点で納税猶予は 打ち切りとなり、猶予されていた贈与税の全額または一部の額と利子税の納付が必要になります。 |
相続税の納税猶予制度・免除制度と同様です。 |
① 贈与の直前において、3年以上役員であること ② 贈与時において、20歳以上であり、会社の代表権を有していること ③ 贈与時において、後継者及び後継者の親族などで、総議決権数の過半数を保有し、かつ これらの者の中で最も多くの議決権数を保有していること |
①会社の代表権を有していたこと ②贈与の直前において、先代経営者及び先代経営者の親族などで総議決権数の過半数を 保有し、かつ後継者を除いた関係者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと ③贈与時に会社の代表権を有していないこと(有給役員として残ることは可) |
相続税の納税猶予・免除制度と同様に、納税が猶予される贈与税額および利子税の額に 見合う担保を税務署に提供する必要があります |
相続税の納税猶予・免除制度と同様に、贈与税の申告期限から5年間ならびに5年経過後は、 一定の要件を満たしていなければ、納税猶予は打ち切りとなり、猶予されていた贈与税の全額 または一部の額に加え、利子税も納付しなければならなくなりますので注意が必要です。 |
相続税の納税猶予・免除制度と同様に、贈与税の申告期限から5年経過後は、主に以下の要件を
満たしていなければ、猶予されていた贈与税の全額または一部の額を利子税とともに納付しなければ
なりません。 ①納税猶予対象株式を継続保有していること ②資産管理会社に該当しないこと なお、5年間経過後に引き続き納税猶予を受ける場合には、3年に1回、税務署に継続届出書の提出が 必要になります。 |
後継者が先代経営者から相続により取得した、議決権株式にかかる相続税の全額の納税が猶予されます。 |
後継者が死亡すると、猶予されていた相続税は免除されます |
①会社の代表権を有していたこと ②相続開始直前において、先代経営者及び先代経営者の親族などで総議決権数の 過半数を保有し、かつ後継者を除いた関係者の中で最も多くの議決権数を保有 していたこと |
①相続開始直前において、会社の役員であること ②相続開始日において、後継者及び後継者の親族などで、総議決権数の過半数を保有し、 かつこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していること ③相続開始日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有していること |
①上場企業 ②中小企業者に該当しない会社 ③風俗営業会社 ④資産管理会社 ⑤総収入金額がゼロの会社、従業員数がゼロの会社 ※資産管理会社」とは、有価証券、不動産(自社で使用していないもの)、現預金等の特定の 資産の保有割合が帳簿価額の総額の70%以上の会社や、これらの特定の資産からの運用収入が 総収入額の75%以上の会社のこと |
猶予される相続税の金額及び利子税の金額に見合う担保を税務署に提供する必要があります。
通常は特例の適用を受ける非上場株式の全てを担保に提供することで、担保の提供があったと
見做されますし、実務上も非上場株式の全てを担保に提供することが一般的です |
相続税の申告期限から5年間ならびに5年経過後は、一定の要件を満たしていなければ、 納税猶予は打ち切りとなり、猶予されていた相続税の全額または一部の額に加え、 利子税も納付しなければならなくなりますので注意が必要です。 |
相続税の申告期限から5年間は、事業を継続し、主に以下の要件を満たしていなければ、
相続税の猶予は打ち切りとなり、猶予されていた相続税の全額を利子税とともに納付しなければなりません。 ①後継者が会社の代表者であること ②後継者が筆頭株主であること ③納税猶予対象株式を継続保有していること ④上場会社や風俗営業会社、資産管理会社に該当しないこと |
相続税の申告期限から5年経過後は、主に以下の要件を満たしていなければ、猶予されていた
相続税の全額または一部の額を利子税とともに納付しなければなりません。 ①納税猶予対象株式を継続保有していること ②資産管理会社に該当しないこと なお、5年間経過後に引き続き納税猶予を受ける場合には、3年に1回、税務署に継続届出書の 提出が必要になります。 |