空き家にかかる税金


 空き家を相続してから手放すまで、空き家に課税される税金の種類と減税措置等に関する 情報を時系列を追ってあらわします。

親から相続発生
(空き家取得)

相続税
 相続税が課税される条件は、空家等の不動産も含め相続した純資産額が相続税の基礎控除  (3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合です。実際には控除額を超えて相続税が発生する ケースは少ないとされており、空き家を取得したから直ちに相続税がかかるというわけではありません。  →「相続税」のページへ


空き家の維持

固定資産税と都市計画税
 課税の対象となるのは、自治体が管理する「固定資産課税台帳」に登録されている土地や家屋 であるため、誰も住んでいない空き家でも所有者は固定資産税を納める義務があります。
 家き屋は住宅地と同様、住宅用地特例が適用され、課税標準額が評価額の最大6分の1になる などの軽減措置が適用されています。
 もし空き家を取り壊して更地にすると特例の対象外となってしまい、固定資産税が上がることに なります。

住宅用地特例
区分 固定資産税 都市計画税
空き地(更地) 何も建物がない状態 課税標準X1.4% 課税標準X0.3%
小規模住宅用地 住宅1戸に付き200㎡まで 評価額X1/6 評価額X1/3
一般住宅用地 住宅1戸に付き200㎡を超えた部分 評価額X1/3 評価額X2/3


空き家の劣化

固定資産税と都市計画税の特例除外
 空き家を取り壊して更地にすると特例の対象外となってしまい、固定資産税が上がることになるため たとえ不要な空き家でも取り壊さないほうが節税になっていいと考える所有者が多く、放置空き家が増加 し、家屋や土地の劣化が進む要因になってしまいがちです。


空き家を相続
放置

著しい劣化

しかし、劣化した空き家を放置し続けると自治体から 「特定空き家」 に認定され、
 住宅用地特例の軽減措置の対象外となってしまいます。
 その結果、固定資産税、都市計画税額が跳ね上がることになってしまいます。


著しい劣化
放置

自治体による「特定空き家」指定までの流れ
※「特定空き家」の認定となる参考基準は以下のとおりです
 ①「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」
 ②「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」
 ③「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」
 ④「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」

「特定空き家」指定の解除
 特定空家に指定される要因となった不適切な箇所を改善すれば、特定空家から解除されます。 固定資産税・都市計画税は毎年1月1日が基準日となっていますので、特定空き家に指定されたとしても、 年内にその状況を改善すれば住宅用地の特例を引き続き受けることができます。
 但し、対処が遅れてしまい特定空き家の解除が1月2日以降になってしまった場合、その年の 固定資産税と都市計画税には住宅用地の特例は適用されないので注意が必要です。


空き家の譲渡


譲渡所得税
 不動産を売却した際に得た所得を譲渡所得といい、その譲渡所得に対して かかる税金を譲渡所得税といいます(厳密には譲渡所得にかかる住民税と所得税のことをいい、 譲渡所得がマイナスの場合には納税の必要はありません)。
 空き家になった実家を相続人が売却する場合も例外なく譲渡所得税が課税されますが、
「空き家対策特別措置法」における税制改正により、その譲渡所得から最高3,000万円が控除 されるという特例があります。

<本特例を適用した場合の譲渡所得の計算式>
  譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除3,000万円


著しい劣化
改築

耐震性能確保
売出

譲渡

譲渡所得

譲渡所得税の特別控除

※この特例を受けるための主な要件は次のようなものです。

①続開始直前において被相続人が1人で住んでいたこと
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有家屋を除く)であること
③相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていないこと
相続開始後空き家状態にしておくのはもったいないと考えて人に貸すということもあるかもしれませんが、 そうするとこの要件を満たさなくなってしまいます。
④譲渡価額が1億円以下であること
特例を使うためにギリギリの1億円に売値を設定するような場合は注意して下さい。 通常不動産の売買では固定資産税の精算が行われますので、その対価を含めると1億円を超えてしまうかもしれません。
⑤相続日から起算して3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
⑥平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡すること
適用期間にも注意が必要です。この特例は平成28年4月1日からの譲渡に適用され、その相続日から起算 して3年を経過する年の12月31日までに譲渡することというのが要件ですので、具体的には平成25年1月2日 以降の相続が対象ということになります。例えば、平成25年1月2日に相続人である長男が家屋を相続し、 長男が平成28年4月1日~12月31日の間に譲渡した場合、本特例の適用が受けられます(他の要件は満たして いるものとする)。
⑦家屋を取り壊さずに譲渡する場合にはその家屋が新耐震基準に適合するものであること
なお、取り壊してから売却する場合は、解体前の写真など証拠になるものが必要となります。解体して しまった後気が付くなど、手遅れとならないようにしましょう。



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